【勉強会】企業の設備投資と景気
5月20日(水)に内閣府から機械受注統計の調査報告がでました。
結果としては
2020(令和2)年1~3月は受注総額は前期比3.9%増の6兆8,963億円
2020(令和2)年4~6月見通しは受注総額は前期比4.7%減の6兆5,725億円
官公需の支えもあり、コロナの影響で想定されていた大幅な下落はなさそうという結果でした。
機械受注統計は、企業の設備投資の先行指標の代表として見られることが多く、設備投資は景気と絡めて考えられることが多いためチェックの必要な指標の一つといえそうです。
今回は設備投資と景気の関係そして機械受注統計についてもう少し詳しく見ていきます。
民間設備投資
民間設備投資と景気にはどのような関係があるのでしょうか。まずはGDPの構成比をみていきたいと思います。
(2014年度内閣府「国民経済計算」より)
民間設備投資は名目GDPを平均して15%前後占めています。
6割に近い民間消費と比べると小さいものの変動が大きいため、景気の循環を引き起こす重要な要因としてはたらきます。
平成に入り、設備投資のピークは16%程度で推移してきました。平成に入る前はピーク時は20%で推移していました。
ストック調整原理
ストック調整原理とは企業の設備投資行動理論の一つです。将来的に望ましいと考える需要動向に見合った資本ストック(=設備ストック)と,現在抱える資本ストックとの間にギャップが存在する場合,企業はそのギャップを埋めるために設備投資を行なうとする考え方を指します。
設備投資の実行は需要となり、景気拡大の推進力となります。しかし実際に設備投資が完了されると供給力は満たされるために、投資が停滞して需要は減り、景気拡大は抑えられます。このような循環をストック調整原理は説明しています。このように設備投資と景気の拡大は関係性があるのです。
設備投資関連の指標
設備投資に関する指標は多く出されており、それらは
先行指標・一致指標
に分けることができます。
(『どう読む経済指標』長富祐一郎監修 財経詳報社)
設備投資に関する複数の指標を比較して、景気の拡大を判断していく必要があります。
機械受注統計は設備の工事段階における発注に関わる指標であり、設備投資の先行指標として分類されます。
機械受注統計
機械受注統計は内閣府経済社会総合研究所が発表している統計になります。内閣総理大臣が指定した主要機械製造業者を対象にして調査は行われ、需要者別、機種別の受注額や発注額を調べています。
2000年までの機械受注統計と設備投資の関連性は今よりも高く、機械受注統計の結果は設備投資に半年ほど先行していました。しかし近年は受注から実際の投資までのスパンが短くなってきた等の理由から、先行性が以前よりも明確ではなくってきました。
基本的に金額が大きく不規則である船舶と電力を除いた民需の動向が注目されます。
船舶と電力を除いても、毎年変動の大きな指標であることが特徴です。
(令和2年5月20日 機械受注統計調査報告:
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2020/2003juchu.html)
まとめ
設備投資と関連する指標、景気との関係性を見てきました。
普段見る言葉、指標には知らないことが多いです。
様々な指標とその意味を理解することで、情報を得られるように勉強を続けていこうと思います。