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【勉強会】レナウンの倒産とアパレル業界

アパレルメーカーで東証1部上場企業の

株式会社レナウンの倒産というニュースが報じられました。

上場している大企業にコロナの影響が

初めて顕在化したとして取り上げられました。

 

今回は、株式会社レナウンの倒産した理由を

アパレル業界の傾向とともに考えてみました。

 

株式会社レナウンとは

商号:株式会社レナウン

設立:2004年3月

事業内容:アパレル製品および雑貨の企画・製造・販売

資本金: 184億7,106万円

 

 

直近の損益

2016年2期から2019年2期までの損益計算書をまとめました。

  売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年2月期 75,863 -146 261 -164
2015年2月期 75,205 324 688 -115
2016年2月期 71,215 586 868 558
2017年2月期 67,624 -248 150 -595
2018年2月期 66,396 215 565 1,352
2019年2月期 63,664 -2,579 -1,998 -3,942

                           (百万円)

(出典 株式会社レナウン HP https://www.renown.com/ir/account/201912/index.html

大きな赤字となっていることが分かります。純利益に関して、赤字と黒字を行き来し2019年2月の最終損益では

2019年2月の損失は次のように説明されています。

 

連結会計年度につきましては、秋以降例年に比べ気温が高めに推移したことから、コートを中心とした防寒ア イテムの販売が苦戦し、主力販路である百貨店向け販売を中心に売上高は減少しました。加えて、在庫増加による 評価損の拡大などにより売上総利益が減少し、営業利益、経常利益は減少しました。また、減損損失を特別損失と して計上したこと並びに、繰延税金資産取崩しによる法人税等調整額(損)により、親会社株主に帰属する当期純 利益も前期に比べ減少しました。

 (2019年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結))

 https://www.renown.com/ir/account/2019/b20lp00000015m5h-att/pdf_ir190410_01.pdf

 

決算期が変わり、2019年12月の決算では次のように説明されています。

 

また、当社の親会社である山東如意科技集団有限公司の子会社である恒成国際
発展有限公司に対する売掛金の回収が滞ったことにより、販売費及び一般管理費に貸倒引当金繰入額を計上しました。(中略)以上により、当社グループの当連結会計年度の売上高は502億6千2百万円、営業損失は79億9千9百万円、経常損失は77億9千5百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は67億4千2百万円となりました。

(株式会社レナウン 2019年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結))

https://www.renown.com/ir/account/201912/b20lp00000016z6b-att/pdf_ir200225_01.pdf

 

最終的な純利益は-67億4千2百万円(‐6,742(百万円))

大幅な赤字とコロナの影響による売り上げの低下により

返済等の資金繰りが滞り、民事再生手続きをとることとなってしまいました。

 

 

事業を評価する指標

倒産する以前の株式会社レナウンの事業はどうだったのでしょうか。

評価するために見るべき重要な指標として次の2つがあげられるのではないかと考えました。

・売上構成比

・国内生産比率

それぞれについて説明していきます。

 

売り上げ構成比

売り上げ構成比とは全体の売り上げに対してある販売経路が占める割合を示したものです。
 
2019年2月時点、売り上げ構成比は
百貨店…56.7%
GMS(総合スーパー)…15.9%
SC(ショッピングセンター)…11.7%
アウトレット…4.6%
EC・通販…3.2%
専門・小売店…2.8%
その他…5.1%
という割合でした。
 
売り上げの多くが百貨店の売り上げに依存する状況でした。
しかし百貨店の売り上げ全体、衣料品部門はともに減少傾向にあります。
 

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百貨店全体売上の推移(百万円)

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百貨店衣料品売上の推移(百万円)


このような状況で百貨店に偏った販売戦略では売り上げを

伸ばすことが難しい状況でした。
 
近年のアパレル業界では
消費者のニーズに合わせた商品の開発と販売が主流となっています。
ユニクロやザラといった、自社の企画から小売りまでを一貫するSPAとよばれる専門店が私たちの衣生活の中心になってきました。
これらのファストファッションと呼ばれるアイテムをてがけるSPAの良さは
顧客のニーズを直にキャッチでき、それをすぐに商品に反映させること
なおかつ、売れ行きに合わせて生産を調節することでコストの削減することにあります。
これは百貨店出身のアパレルメーカーの考えていた販売戦略(=顧客のニーズ)と大きく異なりました。
 
今まではよりよいものを提供すれば、お客さんが買っていってくれるという
売り手が買い手よりも優先されていた時代には、ファッションの個性や品質が重視されました。
しかし、今の私たちは適度な質であれば、それがほかの人と同じ服であってもかまいません。
 
GMSやSC向けに低価格商品の業態を増やすも、売り上げのシェアは
百貨店よりも小さく市場のニーズに応えきれていない状況がうかがえます。
 
さらに私たちの生活の中でもZOZOやアマゾンといったネット通販を利用した
買い物が増えていきました。
日本のアパレル市場が縮小する中、EC市場は伸び続けています。
ECの波に乗り切れなかったことは、売り上げシェアに占める
ECの割合がなかなか上昇しないことが表してると考えます。
 

国内生産比率

国内生産比率とは商品のうち国内で製造している割合です。
2019年2月の時点で35.2%でした。
これは、国内アパレル市場の輸入浸透率が97.2%ということを
考えるととても高い数字になります。

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(出典:経済産業省「工業統計」/総務省「経済センサス」、財務省「貿易統計」
日本繊維輸入組合「日本のアパレル 市場と輸入品概況」)

現在多くのアパレル製品はコストを抑えるために海外(特に東南アジア、東アジア)で生産されています。
輸入浸透率とはその割合を数値としてあらわしたものになります。
輸入浸透率=輸入量/(生産量+輸入量ー輸出量)
 
多くの企業が製造を海外で行うにも関わらず、
日本で生産を続けることには理由があります。
 
それは、高品質な商品の提供と小ロットでの発注にこたえることができる体制を持つことができるからです。
 
レナウンと同じように企画・製造・小売までを行うアパレルメーカーオンワードでは販売経路を増やす努力によって国内生産比率を維持しようと考えています。
 

 

競争環境の厳しさが増す国内のアパレル業界では自社で工場を持つのはリスクが大きく、外部委託する傾向が高まっている。この影響で国内の縫製工場の廃業が相次ぐ。オンワード三陽商会は自ら縫製技術を守るために国内で生産する狙いもある。(中略) 新たな潮流に対応するにはオンワードの強みである高品質の商品を多品種、小ロット、短納期で生産することが鍵を握る。これを実現するには国内工場が欠かせない。オンワードHDの保元社長はデジタル技術と熟練工の融合は「佐賀(の新工場)にしかできない」と強調する。(日本経済新聞2019/12/16)

 

しかし、工場の固定費や人件費は多大なコストであるため、
企業にとって大きな負担になっていることは間違いありません。
 
 

まとめ

 市場のニーズが変化していく中で、
高い縫製技術をかけて製品を生産してきた文化をうまく
転換できない中で財務体質も悪化していきました。
コロナの影響で百貨店や小売店が営業自粛したことで
売上が立たず、結果倒産という形になってしまったということですね。
 
いろいろ調べたらレナウンという企業に愛着がわきました。

 

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